自由論

多数が賛成しても、なぜ専制になりうるのか

多数決は共同の決定を選ぶが、多数派の好みを自動的に正義へ変えない。ミルは権力を行使する「人民」と負担する人が一致しないことを示す。

権力を行使する「人民」は、その権力を行使される人々と常に同じではない。『自由論』第一章・序論

直接の答え――票数は正義を自動生成しない

違う。多数決は平和に共同決定を行う重要な手続だが、少数者へ課す内容をすべて正当化しない。ミルによれば、自治はしばしば各人が残りの全員に統治されることであり、最も活動的な集団が「多数」として通ることもある。

誰が賛成したかだけでなく、何を制限し、誰が負担し、人気に委ねるべきでない自由を奪うかを問う。第一章を参照できる。

代表政府にも限界が要る

ミルは民主制を否定しない。選挙で責任を問える政府なら境界は不要だ、という推論を否定する。官吏を制御できても、人気のない人、組織力の弱い人、人数の少ない人へ多数の好みを強制する危険は残る。

実効的多数は単なる人数でもない。議題設定、参加障壁、資源差が公の意志を形づくる。集計後にも権利、理由、再審が必要である。

手続・公平・権利を分ける

手続は決定の作り方、公平は利益と費用の配分、権利は人数の優位だけで奪える範囲かを問う。正しい手続の規則でも、発言しにくく退出できない人へ全費用を負わせうる。

少数者が発言し組織できたか、制限が証明可能な害に向くか、軽い手段があるか、今日の多数が明日の少数でも同じ規則を受け入れるかを調べる。

現実の決定に使う方法

「皆がそう思う」でなく解決すべき問題を書く。最も影響を受け、最も代表されにくい人を挙げる。制限と代替案を比べ、期限、異議申立て、再検討を設ける。多数決は論証を終えるために使い、代わりにしない。

組織や家族では人数は信念や私生活を支配するさらに弱い根拠だ。強制側に害と比例を説明させる。六古典の研究一覧も参照できる。

境界――少数者の無制限拒否権ではない

少数者の好みも自動的に優先しない。予算、安全規則、相互義務には共同決定が必要で、他者を害する行為は支持者が少ないから免責されない。求められるのは権力の理由である。

緊急時、代表性、歴史的不平等には別の制度判断も要る。この警告は、投票に勝った後も拘束される人へ公開検証できる理由を示せ、と勝者に求める。